鳥取砂丘で気持ちは貴族

学生時代というのは何ともなくとも憂鬱な気持ちになるものだ。そういったときには旅が必要だ。ということで私は鳥取砂丘に出かけた。一人で。
Skypeを使ってよく知らない人とチャットしている時期があったのだが、その時にモロッコ、サハラとプロフィールに書いている人がいた。家の周りの写真送ってと言ったところ快く送ってくれた。写真にはニッコリ笑う男性と砂しか写ってなかった。あまりにも砂しかなくて笑ってしまった。こんなところ良くインターネットが通じるなぁとも思い、人間の力にも驚いた。
鳥取砂丘も私が思った以上に砂だらけで、何となく怖さを感じた。倒れてたら砂に埋もれて気づかれずに死んでしまうのではないか。

砂丘で写真を撮っていると、知らないおっさんに話しかけられた。おっさんは自らを砂丘レンジャーと名乗った。怪しい、、、不審がる私におっさんは自分は県の職員だと言った。県の職員が私に何の用だと益々怪しくと感じてしまったが、話を聞いてみるとどうやら砂丘について無料で解説してくれるとのお話。沢山の観光客がいる中で一人で来ている私が選ばれたのか謎だったが、折角なので、解説を聞いてみることにした。
解説の途中、要所要所でレンジャーは砂丘でジャンプする私の写真を撮ってくれたり、砂丘で夕日を手に載せる私の写真を撮ってくれた。さながら売れないアイドルとオタクの撮影会の様だった。後日、レンジャーはメールで写真を送ってくれたが、私の顔面と体型のクオリティの低さに封印してしまった。

11年の封印を解いた写真

レンジャーのトークがヒートアップした結果2時間以上の時間が経過していた。私の記憶力が東大生並みだったら、今の私は砂丘レンジャー(仮)くらいになれるのだろう。しかし、11年後の私が覚えていることといえば、砂丘レンジャーピンクが砂丘で結婚式をあげたこととハマゴウのことくらいだ。
砂丘レンジャーは砂丘に育つ植物についても解説してくれた。その中の一つにハマゴウがあった。私の訪れた時期には黒い実がなっていた。夏には青い花小さな花が咲くらしい。本当は取っちゃダメなんだけどと言いながらレンジャーがその黒い実を私にくれた。匂いを嗅いでみると何とも言えない爽やかないい香りだった。レンジャーがいうには昔の人はハマゴウをお香として使っていたとのこと。光源氏もこんな爽やかな香りがしたのかなぁなどと考えながら、ハマゴウの実をティッシュに包んで持って帰った。ハマゴウの実はその後数年間香りを放ち続けて、思い出しては嗅ぐ私を高貴な世界に連れて行ってくれた。

Wikipediaより Vitex rotundifolia in Incheon, Korea 인천 남동구 용현동 어느 공원에서. 순비기나무
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